更新日:2025年5月29日
明石昌夫
Masao Akashi

あかしまさお アカシマサオ
1957年3月25日誕生、大阪府出身。B型。2025年5月19日逝去。

MasaoAkashi

ベーシスト、マニピュレーター、シンセサイザー・プログラマー、音楽プロデューサー

いわゆるビーイング系の全盛期に活躍した編曲家。
もともと関西地区でベーシストとして活動していた。オーディションで送ったデモテープがビーイングのプロデューサー長戸大幸氏に渡り、それを聴いた長戸氏が大変気に入り「東京でやってみないか?」ということで「行きます」と上京する。
それまでのビーイングではアルバム曲含めて織田哲郎氏が作曲、編曲まで手掛けることが少なくなく、織田氏の仕事量が多くなっていたため長戸氏が求める音を具現化する存在として編曲家を探していたのかも知れない。
当初は社員として入ったが、契約プロデューサーに変更となっている。
80年代後半より数々のビーイング作品においてアレンジャーとして参加するようになり頭角を現す。
B'zの『だからその手を離して』が初仕事で、最初のヒット曲はTUBEの『Remember Me』になる。
1988年からはB'zの作品においてはギタリスト松本孝弘氏と共同でアレンジを行う。当然のことながら打ち込みは松本孝弘氏が担当した初期を除きほとんど明石昌夫氏による。
以降、長戸大幸氏がプロデュースする企画モノ作品などでも編曲者として度々起用されるようになっていく。

ビーイング全盛期の活躍は、めざましいものがあり、ZARD、WANDS、T-BOLAN、MANISHなどを主に担当。葉山たけし、池田大介らと共にビーイング・サウンドを構築したアレンジャーといえる。
1993年、B'zはCDはシングルを2枚しか出していないのですが、B'zのお二人以上に明石昌夫氏が多忙となっていたことも少なからず影響しているかも知れない。
松本氏はこのころ、同門のビーイング系アーティストに対して微妙な感情を抱いている旨の発言をしていた。
明石昌夫もメンバーであったB'zの音楽制作チームB+U+Mが1994年12月頃までに解体さされるのを時を同じくして、明石昌夫のビーイングでの編曲仕事が激減してゆき、1995年に入るとZARDのシングル表題曲からも、B'zのシングルの表題曲の編曲クレジットからも名前が消えた。
MANISHは『煌めく瞬間に捕われて / 眩しいくらいに…』をリリースしたあと活動休止に入ってしまう。

1996年にはアーティストとして自身のバンドAMGを起動したり、宇徳敬子やTWINZERなどの編曲仕事も行っていたが、仕事量は激減している。
このころ、プロデューサーとしてのクレジットを消すなどして院政に入っていた長戸大幸プロデューサーが活動の拠点を完全に関西に移すことになり、明石さんも「来ないか?」と誘われたが奥さんの反対があり関西行きを断った。
明石さんは「編曲家としての才能が枯渇した」と動画で話していたが、前記の通り長戸大幸プロデューサーと離れたことによって仕事が激現した可能性もあり真相は闇の中。

明石さんのビーイングでのまとまった仕事は1997年12月に発売となった小松未歩のアルバム『謎?』収録曲が最後かな。プロデューサーは明石昌夫をアレンジャーとして引き上げたKANONJI ROCKAKU(長戸大幸)その人であった。

織田哲郎同様、GIZAstudioのアーティストには一切携わっていない。
1998年にはビーイングを離れて活動している。
SIAM SHADEなどアミューズ所属のバンドやJanne Da Arc、華原朋美、安西ひろこ、V6などエイベックスが制作した作品の編曲を手掛けた。
この時は高待遇でスタジオも用意してもらったりギャラも高かったという。

近年は洗足学園大学で講師を行うかたわら、動画チャンネルにゲストで登場したり自身のチャンネルを作るなどして積極的に発信を行った。
ビーイング時代のこともよく話してくれたのでファン達にとっては興味深いコンテンツだったがビーイングは決してよく思っておらず、六本木の本社に呼び出されたこともあった。
2025年5月19日に心不全のため亡くなっていたことが親族より発表された。
奇しくも32年前の5月19日は明石さんが編曲を手掛けミリオンセラーを記録したZARD「揺れる想い」の発売日だった。

編曲(シングル表題曲)

B'z ※以外は松本孝弘と共同
『だからその手を離して』※
『君の中で踊りたい』※
『LADY-GO-ROUND』(2.4万枚)
『BE THERE』(34.8万枚)
『太陽のKomachi Angel』(46.3万枚)
『Easy Come, Easy Go!』(47.1万枚)
『愛しい人よGood Night...』(35.4万枚)
『LADY NAVIGATION』(117.2万枚)
『ALONE』(112.7万枚)
『BLOWIN' / TIME』(176.3万枚)
『ZERO』(130万枚)
『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』(202.1万枚)
『裸足の女神』(173.5万枚)
『Don't Leave Me』(144.4万枚)
『MOTEL』(131.6万枚)
※に関して明石昌夫本人は松本孝弘氏が打ち込みをしていると発言

ZARD
『Good-bye My Loneliness』(20.9万枚)
『不思議ね…』(3.1万枚)
『もう探さない』(3.6万枚)
『IN MY ARMS TONIGHT』(32.1万枚)
『君がいない』(80.1万枚)
『揺れる想い』(139.6万枚)
『もう少し あと少し…』(84.4万枚)
『きっと忘れない』(87.2万枚)
『この愛に泳ぎ疲れても / Boy』(88.7万枚)
『こんなにそばに居るのに』(78.7万枚)
『翼を広げて』(8.3万枚)

MANISH
『恋人と呼べないDistance』
『声にならないほどに愛しい』(19.4万枚)
『素顔のままKISSしよう』(9万枚)
『君が欲しい 全部欲しい』(8.5万枚)
『眠らない街に流されて』(11.8万枚)
『だけど止められない / いつでも いまでも いつかは』(7.3万枚)
『もう誰の目も気にしない』(19万枚)
『明日のStory』(8.0万枚)
『走り出せLonely Night』(7.3万枚)
『煌めく瞬間に捕われて / 眩しいくらいに…』(43.1万枚)

T-BOLAN ※以外はT-BOLANと共同
『JUST ILLUJION』(9.8万枚)※
『サヨナラから始めよう』(21.5万枚)※
『じれったい愛』(68.4万枚)
『Bye For Now』(118.3万枚)
『おさえきれない この気持ち』(82.6万枚)
『刹那さを消せやしない / 傷だらけを抱きしめて』(73.1万枚)
『わがままに抱き合えたなら』(40.3万枚)
『マリア』(78.1万枚)
『SHAKE IT』(26.2万枚)

TUBE
『REMEMBER ME』(6.3万枚)
WANDS
『寂しさは秋の色』(3.0万枚)
『時の扉』(144.2万枚)
『愛を語るより口づけをかわそう』(112.1万枚)
Mi-ke
『ブルーライトヨコスカ 』(27.2万枚)
TWINZER
『I Will Wait fait For You』
大黒摩季
『STOP MOTION』
BAAD
『どんな時でもHold Me Tight』(1.7万枚)
『君が好きだと叫びたい』(37.6万枚)
『抱きしめたい もう一度』(1.9万枚)
『君はマニュアル通りには動かない』(0.4万枚)
ZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄
『果てしない夢を』(72.6万枚)
Tears
『眩しいほど綺麗になったね』(11.4万枚)
森下由美子
『Tears』
『SOMEBODY TO BELIEVE』
宇徳敬子
『どこまでもずっと』(9.8万枚)

TUBE
『REMEMBER ME』(6.3万枚)
南野陽子
『KISSしてロンリネス』(7.8万枚)
『夏のおバカさん』(4.0万枚)
田中美奈子
『ギリギリしてる / だからサヨナラ』

V6
『自由であるために』(21.3万枚)
『Over』(45.2万枚)
華原朋美
『as A person』(28.7万枚)
『be honest』(5万枚)
『Blue Sky』(0.6万枚)
島谷ひとみ
『解放区』(4.4万枚)
安西ひろこ
『Necessary』(2.6万枚)
Risky(島崎和歌子)
『My Life is...』(1.2万枚)
Janne Da Arc※全て共同
『RED ZONE』(5.5万枚)
『Lunatic Gate』(3.7万枚)
『EDEN〜君がいない〜』(4.2万枚)
SIAM SHADE※共同
『1/3の純情な感情』(69.8万枚)
『グレイシャルLOVE』(17.3万枚)

編曲(それ以外)

B'z(※以外松本と共同)
アルバム『B'z』(※)、『OFF THE LOCK』、『BAD COMMUNICATION』、『BREAK THROUGH』、『WICKED BEAT』、『RISKY』、『MARS』、『IN THE LIFE』、『RUN』、『FRIENDS』、『The 7th Blues』全曲
T-BOLAN
アルバム『SO BAD』、『LOOZ』(『真夜中のLove Song』を除く)全曲
ZARD
アルバム『もう探さない』、『OH MY LOVE』全曲
MANISH
アルバム『Manish』、『INDIVIDUAL』全曲
栗林誠一郎 (栗林と共同)
アルバム『LA JOLLA』『Summer Illusion』全曲
南野陽子
アルバム『夏のおバカさん』全曲
アリス
アルバム『0001』全曲

エピソード

・音楽業界に関する著書を発売するなどしたため古巣のビーイングとは微妙な関係のようだ。またYouTubeやSNSで裏話を披露するためビーイングに呼び出しされたことがある。

・ビーイングに所属していた頃、BMWを愛車にしていたので決して薄給ではなかったと思われる。

・数多くのビーイング系アーティストの編曲を担当していたが、DEENの楽曲はおそらく1曲も参加していない。FOVも少なくて1曲くらいだったはず。

・南野陽子が全て作曲したアルバムを任せられた際、南野の鼻歌を曲に落とし込む作業をした時のことを懐かしく語っており、ゴーストなどではなく南野が実際に作っていたことを証言している。

関連サイト

明石昌夫の旧ツイッター
https://x.com/Akashi_bassist

MASAO AKASHI OFFICIAL