秋吉契里 1st Studio Album
存在
Rooms RECORDS / (P)1997 Being,Inc.
1997年12月10日発売(CD : BMCR-7020)

cgr

Produced by B.M.F
All Electric Guitar: 中島正雄
All Keyboards: 池田大介

TL

1. いつか…
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 Be Kikakushitsu

ピアノ、アコギ、ドラム、ベースで展開されるシンプルな構成のミディアム曲。
この世に絶望があるのならば
きっと何処かに希望だってあるはずだから

Bass: 徳永暁人

2. 僕がいなくても
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

こちらはエレキを効果的に使った少々ロックな1曲。
僕がいなくても
君のところに朝はやってくる


3. HAPPY BIRTHDAY FOR YOU
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

1997年2月18日発売のデビューシングル。ANB系『トゥナイト』エンディングテーマ。
サウンドはもろリバプール(今で言うブリティッシュ・ロック)ですけど、歌詞が冷めた?悟り切った?女性の視点なので不思議な感じ。
2003年に発売されたコンピレーションアルバム『vocal compilation 90's hits vol.2 〜female〜 at the BEING studio』に収録された。

どんな道選んでも
後悔するのだから
思いきり踏みはずして
乱暴に生きてしまおう

Chorus: 村上恭太郎(クレジットは誤植だと思われるおそらくこっち)

5 熱くならなきゃだめこれも恋だから
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 Be Kikakushitsu

1997年7月9日発売の3rdシングル。ANB系『カイカン雛スポ』オープニング・テーマ。
Blues Harp: 加藤友彦

5. 存在
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

アルバムタイトル曲。
フォーキーなアコースティックサウンドに乗せて、自分という存在について想いを馳せる。
効果的に使用されるピアノが印象的。

私が生きてることに意味はない
自分の限界を知るために
ここまで歩いてきた


6. あなたをただ愛して ただそれだけで生きてゆける
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

1997年10月29日発売の4thシングル。ANB系『女神のちからこぶ』エンディングテーマ。
なんとなくラブサイケデリコ風味な気もしなくもない。


7. ねぇ…
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 Be Kikakushitsu

アルバム曲としては、まあまあなのではないかなと。『HAPPY BIRTHDAY FOR YOU』のカップリング。
幸せと呼ばれる人ほど
幸せのためだけにせわしない
今を生かし続ける重みによろめく


8. 愛なんて
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

1997年4月30日発売の2ndシングル。ANB系『アッコの泣かしたろか!?』テーマ曲。
イントロのA&E ギターが強烈。Aギターって優しく聴こえたり、冷たく聴こえたり表情がある音色だよね。70年代と洋楽が混在してる感じがする。

たったひとりの自分に
嘘をついて何になる
あゝお前は何をしてきたと
吹き来る風が叫んでも


9. 雲の階段
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 TV Asahi Music Co.,LTD. & Be Kikakushitsu

ピアノとキーボード、エレキを主体にした今作を象徴するようなバラード曲。
コーラスに村上恭太郎さんがクレジットされているが、この曲にはコーラスパートが全くないので誤植だと思われる。おそらく#3で間違いないかと。村上さんはZARDの『風が通り抜ける街へ』でもコーラスしている。

いらない過去は
ぜんぶ捨ててゆく
そんな冷たさ今も好きだよ
仮面をつけて生きてきたけれど
気づけば僕に素顔なんてない


10. 運命の扉
(作詞:作曲:秋吉契里・編曲:C.Crew)
(C) 1997 Be Kikakushitsu

続くラストもバラード。
どんな絶望感の中にいても、それでも希望を頼りに人は生きてゆくものではないでしょうか。
僕が大好きなアーティストユーミンが言っていた…人は希望があるから生きてゆける、と。
僕は自分より下の世代の子が自殺したニュースを見ると胸が苦しくなる。
死にたくなる気持ちはどんな人も感じた事はあると思うけど、本当に死んでしまう人は物凄く勇気がある人だ。
それだけの勇気があるなら生きて、起こることを受け止めてみればいいじゃないか。
現状だけが人生ではない。
山あり谷あり、色んなことがあり、環境が変われば新しい出会いもある。今を嘆くのではなく、これからを期待して生きるほうが希望に近いと思う。生きてたら思いもしなかったような出会いがあるかもしれないんだよ。
黙っててもいつかは誰もが宇宙に還るんだから急いで行かなくて良いの!
このアルバムの締めくくりに選ばれたのは絶望ではなく希望だった。

喜びや哀しみにさえ
揺れない 戻れない道よ
太陽に照らされて輝いた
塵のような明日を思い描いて


RV




秋吉契里(あきよしちぎり)、彼女のデビューは1997年のこと。ビーイングのレーベルのひとつルームスレコーズから。
ルームスレコーズは旧BMGルームスといい、ビーイングとBMGビクターが共同で設立したレコード会社。
1995年の社名変更時にルームスレコーズになり、ビーイング単独資本の会社となりました。

シングル『HAPPY BIRTHDAY FOR YOU』でデビューした彼女は、既に20代半ばを迎えており、どちらかといえば遅咲きだろう。
大学院で日本文学を専攻していたということもあり、彼女の音楽の要は、やはり歌詞ということになるのではないだろうか。

彼女の歌詞から感じられる特徴として、恋愛を描くものが多く、沙羅双樹の与謝野晶子のように、女の情念をたぎらせたものが見られる。
また、孤独や死生観、宇宙にまで言及は及ぶ。
2ndアルバム『無力』ではそこが更に強調されていく。

奇しくも同時期にシーンに舞い降りた椎名林檎がブレイクしてゆく時期、ビーイングではさらに同系統の大葉るかという新人(元WANDSの大島こうすけ氏が見つけてきた)もデビューさせている。
これのあとの2000年代初頭には韓国の女性アイドルグループJEWELRYを日本デビューさせており、その数年後に流行るのが少女時代やKARAなのだ。
意外にもビーイングって先見の明があるのかもしれない。それを上手く活かせていなかったけれども。(笑)

『存在』のサウンドはアコースティック、ピアノを基調にしているものが多いけれど、洋楽好きのミュージシャンがついていたのか、リフから感じられるのは古き良き洋楽。
エレキギターを効かせたロック風のもの、激しいアコギのカッティングとエレキで攻めてくるフォークみたいなものまである。
メロディー自体はやはり王道なので聴きやすいことはたしか。ボーカルはまだ未完。
ビーイングから出してるものである必要があるのかと問われたら回答に困るかもね。

彼女の想いは作品として残り、日本のどこかの誰かの胸に残り、もしかしたら、いつか無になるかもしれない。
現在はもう宇宙(そら)に還った彼女がこの世に生きた証である。合掌。

個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 8


★Chigiri's Discography

秋吉契里のディスコグラフィーと考察